light reading
Paulo Coelho「The Devil and Miss Prym」 「君や君の町がどうということではない、私は自分のことしか考えていない──ひとりの人間の物語はすべての人間の物語なんだ。人間が善なのか悪なのか、私は知りたい。善なのであれば、神は公正だったということにな…
2008年芥川賞受賞作。当時は、直木賞を同時期に受賞した桜庭一樹に比べて、見て呉れ優先のイマイチな扱いしかされてなかったように見えていた(実際、賞に至るまでの刊行数がフェアを組むには少なすぎた)、だが「ヘヴン」が出た辺りから、いつか読もうと思…
知人の推薦本です。ジャケ買いだそうです。私もこの絵は魅力的だと思うので(森見登美彦「四畳半神話大系」原画展見ました)その言葉は真実でしょうが、ミステリファンを自称する人が本気でこの本を買って愉しんだというのはちょっと恥ずかしいので、ジャケ…
" Love ? What is it ? The most natural painkiller what there is . Love. " William Seward Burroughs 「愛とは何だ?この世で一番自然な痛み止め。愛」(p.141) バロース加算機(現ユニシス・コーポレーション)の御曹司でハーバード卒。ちなみにお兄さん…
人んちの書棚を眺めるのはおもしろい。わたしが眺めているのを、傍ではらはら査定待ちしている持ち主がいるとなおのことおもしろい。ベストセラーを渡り歩くだけのランダム・ウォークもあれば、はっきりとした趣向をもって継続的に本を読んでいるらしい形跡…
……「御指名はございますか」「ない」女たちはみなうつむいていて顔は判らない。西洋人を指でしめした。毛唐女が好きなわけじゃない、本を読んでいたからだ。 …… 部屋へ戻り、ベッドに横たわると、やはりフェラチオにとりかかった。 「いや、それはいい」 「…
鳥たちがいて鳥の歌がみちることが「楽園」なのだ。その背景には、鳥たちの発する音声を「歌」とみなす人の側の心がある。それにはヒトの進化の長い歴史と、その間に過ごしてきた生活環境の(鳥たちが住む土地が同時に何をもたらしてくれたかについての)記…
・カザリとヨーコ ・SEVEN ROOMS ・SO-far そ・ふぁー ・陽だまりの詩 ・ZOO 以上5編収録。乙一の短篇はとにかく好き。
ひさしぶりに読んだ。長谷川摂子さんの前のとは違う連載と、小林康夫の「思考のパルティータ」はまだ続いてる。
津田塾大学で開催されていた写真展「文字の母たち〜活字の旅とその記憶」を見た。 活版印刷の工程や道具、それに携わる人たちをおさめた写真集。当たり前のことなんだが、本を開いて見るページには、組版としてのオス型、活字の原型としてのメス型が揃ってい…
子供たちのあいだで爆発的に流行している「ライフキング」というテレビゲームをめぐって、子供たちの緊密なネットワーク上で流布される噂や怪情報が、社会にも影響をおよぼす。初出である21年前の当時は、ゲームソフトは明らかに子供向けに作られていたし、…
叙述トリックは不要だ。なしでも物語が成立している。 さらに言えば、語り手を代えてまでして付けている「えんでぃんぐ」も蛇足だ。白紙ページで構わない。 ほんと饒舌なんだから。
さいきん日本文学をほとんど読んでいないので、まず情報収集をば。 筑摩書房の松田哲夫が、「王様のブランチ」で紹介するために膨大な量の本をチェックするのに、 大森望、豊崎由美、さらに斎藤美奈子(、北上次郎、池上冬樹、高橋源一郎)の書評を参考にし…
非作家による選考をおこなう文学賞が増えた傾向を分析して、「文学の民主化」と表現するのは慧眼だと思う。 みんなが良いと言う本、よく売れよく読まれる本を、どう評価したらいいのかがようやく理解できた気がした。 ただ、わたしは今はまだ、民主主義的に…
最近、芸能ゴシップで、誰それが難病にかかったとかいう類いの報道が増えた気がする。本人から発信されることもあるし、マスコミの調査によることもある。ネット上ではしばしば売名行為だと揶揄されているが、結果としてたしかに売名は成功しているけれど、…
「センセイの鞄」のツキコさんとセンセイが、畳にねそべりながらよしなきことを語る。ふたりとも淡々としているけど、一緒にいるここちよさ、息のあった掛け合い、羨ましいくらいだ。改めて思う、人と人との関係を説明するのに、恋愛か友情かなんて、そんな…
せつなさと優しさに満ちた短篇集。短く要約すると何故か陳腐になってしまうので、内容紹介できないのが残念。 既読のかたへ、彼女は彼にモールス信号を教えるべきだったと思いませんか? 文庫版は以下8編。 ・Calling You(映画「きみにしか聞こえない」原作…
読書ファンは多かれ少なかれベストセラー本を馬鹿にしている。「あるのは知ってるけど、読んでませんよ、そんなもの。」時間と金の無駄でしょう、愚民どもが読んでればいいのよ。書棚にさしといたら恥ずかしいわい。「光に向かって100の花束」「頭がいい人、…
変態精神科医、伊良部を主人公とするシリーズの3作目。4編収録の短篇集。うち、表題作以外の3編は、実在の人物をモデルに充てて描いている。 自分がこの連作に何を求めているのか理解した。最初は伊良部医師を胡散臭そうに見ていた患者が、次第に彼を認め彼…
「イン・ザ・プール」の続編で、5編収録の短篇集。これも面白い。前作よりもさらに物語のバリエーションが広がっているように見える。 褒めてるんだか貶してるんだか自分でもよく分からなくなってきた。文芸作品に対する私のスタンスは、以下、トヨザキ社長…
変態精神科医・伊良部の診療譚。5編収録の短篇集です。直木賞作家って伊達じゃないんだなと思った。きっちり読ませます。 1話目の表題作「イン・ザ・プール」を読んだ限りでは、あまりにも型にはまったエンタメぶりに辟易するばかりだった。人物造形は類型的…
11月21日 飴を舐めながら布団で睡眠しました。瞳のことを考えてブルーベリーエキスの入った飴を選びました。目が覚めたとき、いつのまにか飴は口の中から消えているのでした。これまでも何度かこのようなことはありました。そのたびに、溶けてなくなったのだ…
日常生活のなかでは、無意味だとしか思えない、停滞している時間が必ずある。 そのとき何をしていたか、ということは意外と大きな意味を持つことになるから、油断ならない。 (というような、何気ない無為な日々をえがいた短篇集です。) 32歳になりました。
エッセイ集成。「ミラノ 霧の風景」「コルシア書店の仲間たち」「旅のあいまに」所収。 最初に正直に記しておくと、すでに膨大な量になっているはずの「いつかは読む著述家リスト」の中に須賀敦子の名前を加えたのは、福田和也の講談社新書「悪の読書術」を…
あまり熱のこもっていない調子で、友人がそれでもと推薦した一冊だが、その態度におおいに共感する。 完成度の高い短篇集。何気ない日常がくるりと不気味に反転する物語は、乙一を思い出す。
Adelaida Garcia Morales「the South」 こういうの読む人なんだ、って思われたらちょっとウフフな気分の装幀ですんで、六本木ABCでも堂々と表紙のほうを表に向けて会計を済ませ、地下鉄車両内でも表紙を見せびらかしながら読書してた人がここにいますよ。 数…
わたしは、サルトルの内側にどっぷり漬かり、そこから這い出るなかで、サルトルに訣別しつつ、サルトルを論じてきたのです。本書にも、このわたしのサルトル遍歴の痕跡がいくつも残っています。わたしの論述は、わたしがいかにしてサルトルを汲み尽くしたか…
年末の友人たちとの宴席で、教育の本質的なことを真剣に考えて取り組んでいる人と話す機会があった。彼のような人と話すのは久しぶり、という感覚がして、まさにそういう機会に、父が教育に従事してましたよ、と自分が発言したのは我ながら意外だった。そう…
ラノベです。というよりはラノベの体裁をとった、ジュブナイル向け正統派ミステリィかな?良質なSFである「涼宮ハルヒの憂鬱」を読んでも同じハメに陥るんだろうなあと思うけど、萌えやキャラ立てを軽くこなせるほど鍛錬してないからいちいち蹴つまづくし、…
いい絵本を発見。子供ができたら読ませたいのでメモしとく。ていうかまずは相手からですよね〜。