2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ランボオ/小林秀雄訳「地獄の季節」

「強気にしろ、弱気にしろだ、貴様がそうしている、それが貴様の強みじゃないか。貴様が何処に行くのかも知りはしない、何故行くのかも知りはしない、ところ構わずしけ込め、誰にでも構わず返答しろ。貴様がもともと屍体なら、その上殺そうとする奴もあるま…

ソポクレース「アンティゴネー」

オイディプスの父殺し、オイディプスの子らの刺違えはそれぞれ、逃れられなかった呪いの結果とも言えるけれど、娘アンティゴネーの自殺は彼女自身の強い意志の結末だ。自らが選びとった悲劇であった、これが大きな分水嶺になっているように思えた。 アンティ…

マックス・ヴェーバー「職業としての政治」

1919年1月、第一次世界大戦敗戦後のドイツで開かれた学生のための講演会録。論旨がとても明瞭で分りやすいです。政治が暴力を基盤としていること、また施政者の類型や出自の変遷、コーカスなど選挙システムについて、政治とは本来相容れない倫理の問題につい…

「未来」2006年9月号(No.480)

松田美緒さん「音を紡ぐひとたち」が毎回なんだかいい雰囲気だ。編集してる人の狙い通りの効果を楽しんでるだけのような気がしなくもないが、紀行文風にしちゃ出逢った風景なり人物なりの写真がでてこないのが物足りないのか否むしろいいのか? 内藤寿子さん…

大江健三郎「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」

5つの短篇を詩という視点でひと纏めにした本。多少の例外はあれ短篇は面白いというのが大江文学の原則かと(笑)。初期大江の精緻な暑苦しさと、中期以降の谷間の村の面影とが共存してる、幸福な時代です。 大江をある程度の量読み進むと、イーヨー・ギー・…