2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

パウロ・コエーリョ「悪魔とプリン嬢」

Paulo Coelho「The Devil and Miss Prym」 「君や君の町がどうということではない、私は自分のことしか考えていない──ひとりの人間の物語はすべての人間の物語なんだ。人間が善なのか悪なのか、私は知りたい。善なのであれば、神は公正だったということにな…

堀江敏幸「雪沼とその周辺」

単行本発刊直後、とはもう8年前になるのか、室内にうず高く積みあげられた本のドミノタワー何本も、その頂上のひとつにしばらく鎮座していた表紙、懐かしい。当時想像していたとおりに上質で洗練された静謐な短編集。雪沼を巡る村に住む人々のささやかでつま…

川上未映子「乳と卵」

2008年芥川賞受賞作。当時は、直木賞を同時期に受賞した桜庭一樹に比べて、見て呉れ優先のイマイチな扱いしかされてなかったように見えていた(実際、賞に至るまでの刊行数がフェアを組むには少なすぎた)、だが「ヘヴン」が出た辺りから、いつか読もうと思…