2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

W.G.ゼーバルト「移民たち」

Winfried Georg Sebald「The Emigrants」 才気煥発と自分の考えをまくしたてる訳でもないし、派手でわかりやすい業績をあげた訳でもない。それでもなぜか友人たちの間で、その発言にとりわけ重きをおかれるような人がいる。ゼーバルト「アウステルリッツ」を…

乙一「小生物語」

11月21日 飴を舐めながら布団で睡眠しました。瞳のことを考えてブルーベリーエキスの入った飴を選びました。目が覚めたとき、いつのまにか飴は口の中から消えているのでした。これまでも何度かこのようなことはありました。そのたびに、溶けてなくなったのだ…

ジル・ドゥルーズ「スピノザ」

Gilles Deleuze「Spinoza : Practical Philosophy」 ドゥルーズは、学位論文「差異と反復」の副論文としてスピノザ論「スピノザと表現の問題」を提出した、というくらいに哲学の出発点をスピノザに負うところが大きかったらしい。「資本主義と分裂症(アンチ…

長嶋有「夕子ちゃんの近道」

日常生活のなかでは、無意味だとしか思えない、停滞している時間が必ずある。 そのとき何をしていたか、ということは意外と大きな意味を持つことになるから、油断ならない。 (というような、何気ない無為な日々をえがいた短篇集です。) 32歳になりました。

ラビンドラナート・タゴール「ギタンジャリ」

Rabindranath Tagore「GITANJALI」 17 わたしは ひたすら愛する人を待っている──ついには その手に この身をゆだねるために。そのために こんなにも遅くなり、こんなにも怠惰の罪を犯してしまったのです。 人々は 規則や掟をもって来て わたしをがんじがらめ…