2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ヴァルター・ベンヤミン「ベンヤミン・コレクション(3)記憶への旅」

Walter Benjamin「One Way Street, Berlin Childhood Around 1900 and Other Writings」 民間の言い伝えのひとつに、夢を朝食前の空腹のときに語ってはいけない、というのがある。……この心身状態においては、夢について報告することは由々しき結果をもたらす…

石川雅之「もやしもん(8)」

読了後にビール飲みたい熱が沸騰し、友人たちと私的にOktoberfestをおこなう。 NASA Ames Research Center勤務などという格好良すぎなキャリアを持つ友人に、この本と猫村さんを差し上げる。

W.B.イェイツ「イェイツ詩集」

William Butler Yeats「The collected Poems of W.B.Yeats (Macmillan)」 I had a thought for no one's but your ears: That you were beautiful, and that I strove To love you in the old high way of love. あなた一人だけに伝えたい思いが私にはあった…

西尾維新「不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界」

叙述トリックは不要だ。なしでも物語が成立している。 さらに言えば、語り手を代えてまでして付けている「えんでぃんぐ」も蛇足だ。白紙ページで構わない。 ほんと饒舌なんだから。

ヘルタ・ミュラー「狙われたキツネ」

Herta Müller「Der Fuchs war damals schon der Jäger」 ある日の午後、にわか雨が上がった後の中庭でのことだった。熱のこもったままの敷石の隙間を黒いアリの行列が這いまわっていた。アディーナは、砂糖水を流し込んだ柔らかい透明な管を敷石の隙間に置い…

J.M.クッツェー「ダスクランド」

J.M.Coetzee「Dusklands」 つまり彼女は、ぼくには秘密があると思っているし、しかもそれが、癌のように口に出せない秘密だと信じている。が、彼女がそう考えるのは自分自身をなぐさめるためだ。というのも、秘密があると信じることは、記憶の迷路のなかを探…