2008-12-01から1ヶ月間の記事一覧

ケルテース・イムレ「運命ではなく」

Imre Kertesz「Sorstalansag」 ただ与えられた状況があるだけだし、その中にさらに新たな状況があるだけだ、……僕も与えられた僕の運命を最後まで生きた。僕の運命じゃなかったけれど、僕は最後まで生きたのだ。……もしすべてが運命でしかないなら、自由などあ…

吉増剛造「花火の家の入口で」

幼年のわたしがさくらを見た日。その日わたしは老衰 した。庭にひびいた紙笛の散る里、……わたしはわた しの人生を思い出す。(時は、少しも、足りなくなか った。百年がたち、百五十年がたっ、た、……。)

宮本常一「日本人の住まい」

たしか筑摩書房のPR誌上だったと思うが、作家の桜庭一樹とちくま書房の編集者とが、新しく編纂された「ちくま日本文学」の作家選定について四方山話をしていた。(桜庭一樹があまりにブッキッシュなのに驚いた。)民俗学からいま選ぶんなら柳田國男と折口信…

ミシェル・フーコー「狂気の歴史」

Michel Foucault「Madness and Civilization」 ヨーロッパに於ける中世以降フロイト以前の、狂気と人間社会との関係について論じた大著。フーコー入魂の一冊です!600ページ超の鈍器!各監禁施設の収容人員から当時の医師の所見、治療法に至るまで、史実を綿…

日丸屋秀和「ヘタリア AxisPowers(2)」

1巻にひきつづき2巻も、友人にいただいてしまいました。彼の中ではわたしはサブカル担当になったんでしょうか?お色気担当になってしまうよりはだいぶいいのですが、今まで知性をアピールしてきたはずなのにそれには全然成功してません。 あ、それでヘタリア…

マリー・ンディアイ「みんな友だち」

Marie NDiaye「Tous mes amis」 ある一般的な感情、社会現象的に蔓延するような意識、それはほとんど症候と名付けてもいいと思うけれど、それに対して治療を施すような形で供給される物語があると思う。 「泣ける物語」は、需要と供給との間にとてもいい関係…