2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

管啓次郎「斜線の旅」

鳥たちがいて鳥の歌がみちることが「楽園」なのだ。その背景には、鳥たちの発する音声を「歌」とみなす人の側の心がある。それにはヒトの進化の長い歴史と、その間に過ごしてきた生活環境の(鳥たちが住む土地が同時に何をもたらしてくれたかについての)記…

椎名軽穂「君に届け(9)〜(10)」

本編終了。いやぁ、恋愛ってほんっとうにいいもんですね〜。

堀江敏幸「熊の敷石」

彼の言いたいことは、それこそ「なんとなく」わかるような気がした。私は他人と交わるとき、その人物と「なんとなく」という感覚に基づく相互の理解が得られるか否かを判断し、呼吸があわなかった場合には、おそらくは自分にとって本当に必要な人間ではない…

ジョルジョ・アガンベン「言葉と死─否定性の場所にかんするゼミナール」

Giorgio Agamben「Language and Death: The Place of Negativity」 ……わたしたちはそれをわたしたちが感覚的確信のなかで言いたいとおもっているとおりのままには言っていないのである。しかしながら、見られるように、言葉で表現されたもののほうが(言いた…

乙一「ZOO(1)」

・カザリとヨーコ ・SEVEN ROOMS ・SO-far そ・ふぁー ・陽だまりの詩 ・ZOO 以上5編収録。乙一の短篇はとにかく好き。

ヴァルター・ベンヤミン「パサージュ論(5)ブルジョワジーの夢」

Walter Benjamin「The Archades Project/Das Passagen-Werk」 都会の雨には子どもの頃を夢のように思い起こさせるという、あなどれない魅力がある。しかしそれは、大都会に育った子どもでなければわからない。雨はいたるところ気づかぬようにひっそりと降り…