2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

町田康「告白」

明治二十六年に実際に起こり後に河内音頭になった惨殺事件「河内十人斬り」の、首謀者の内省を描いた作品です。 わたしの個人的な好みによく合っています。おほほん・わっぴゃぴゃんという擬音擬態語で文に弾みを生むのとか、ドナドナのように…などと時制の…

町田康「浄土」

「東京飄然」とか書店でパラ読みしたりしてて、あ結構おもしろい作家だと気付いてたのに、辻仁成を読む気がしないのと同じ理由で読まずに来たことを恥ずかしく思いますと告解しておく。スミマセン。 「浄土」には7つの短編がおさめられていて、良い順に「犬…

「未来」2007年1月号(No.484)

「夕鶴」てとても美しい話だと思う。 つう、が自分を助けた男の許を訪れ一緒に住まったのは、単に一緒にいたかったからとかお世話をしたかったからとか、思慕感情だったと思うのよね。それがやがて自己犠牲に発展する。好きな男に尽くしたいという気持ち。だ…

福原泰平「ラカン 鏡像段階」

フランスの哲学者(精神分析医)ラカンの紹介書。こういう紹介書読むのすごく久しぶりかも。ラカンの思想ばかりでなく生い立ちやら私生活やら、バタイユの妻との仲にまでふれているのが人間臭くて楽しい。ラカンを批判的に乗り越えるという気がまるでないの…