2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ「カフカ マイナー文学のために」

Gilles Deleuze + Félix Guattari「Kafka: Toward a Theory of Minor Literature」 未読の「アメリカ(失踪者)」を加えて「訴訟(審判)」「城」の三作品(Kの物語)を読もうかなということで、かなり大回りの迂回路を通っている最中。カフカはフェリーツェ…

梅木達郎「サルトル 失われた直接性をもとめて」

わたしは、サルトルの内側にどっぷり漬かり、そこから這い出るなかで、サルトルに訣別しつつ、サルトルを論じてきたのです。本書にも、このわたしのサルトル遍歴の痕跡がいくつも残っています。わたしの論述は、わたしがいかにしてサルトルを汲み尽くしたか…

伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」

うーん…黄金の竿を喪失した男が、それを置き去ってしまった孔を探し求めて放浪する話だ。あっちこっちで孔を掘りまくるんだけど、結局彼がそれを見つけたのは、自分の肛門だった…というのは嘘八百なんだけど。ドゥルーズ読んでてアンチ・ファルスに染まって…

ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ「アンチ・オイディプス 資本主義と分裂症(下)」

Gilles Deleuze + Félix Guattari「Anti-Oedipus」 ドゥルーズ+ガタリによる、フロイトを全面批判する論文。彼らは勿論、フロイトの偉大な功績は褒め讃えるけれど、彼が産み落としてしまった胤の罪深さ、彼の後継者たちを陥れた罠を、根本から批判している…

ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ「アンチ・オイディプス 資本主義と分裂症(上)」

Gilles Deleuze + Félix Guattari「Anti-Oedipus」 別の本のタイトルでドゥルーズが「critic and clinic」などと楽しげに述べているとおり、精神分析に関係する批判にはやっぱり臨床はつきものでしょ。という訳で、さあ診察室のソファに座ろうか。……最近、と…

フェリックス・ガタリ「カフカの夢分析」

Félix Guattari「65 rêves de Franz Kafka」 「フロイトにとっては、夢は無意識の奥深い新陳代謝が記録されたものの表面にすぎなかった。……カフカは、夢のなかの意味をなさない地点をある解釈学のくびきの下におきながら、それを増殖かつ拡大させつつ、いか…

サミュエル・ベケット「名づけえぬもの」

Samuel Beckett「The Unnamable」 ……おれがいま言っていることや、できればこれから言うだろうことは、もうなくなったことか、まだないことか、一度もなかったことか、絶対にないだろうことで、もしあったにしても、もしあるにしても、もしあるだろうにして…

フランツ・カフカ「断食芸人 四つの物語」

雑賀恵子さんのことが個人的に気になってます。空腹と食に関する本を読もうとしてて、その下準備みたいなノリで読んだんだけど。あまりにもカフカが凄まじく、むかし読んだのとは全く違う仕方でわたしは打ちのめされた。 「断食芸人」はカフカ最晩年の短篇で…

アイスキュロス「ギリシア悲劇(1)」

オレステイア三部作収録。 第一部では、戦場から帰還したアガメムノン王が、王妃クリュタイメストラと情夫アイギストスに殺害される。アイギストスはアガメムノンの家系にもともと恨みがあって、というのは彼の父親は、アガメムノンの父王の策略により、食卓…

魚喃キリコ「strawberry shortcakes」

こういうの読むと、自分はなんて健全であることかと思う。他人への嫌悪や憎しみや執着は十分に自覚しているけれど、それは必ずしも自分の苦しみへとは直結しない。だから、(このストーリーの登場人物たちのようには、)苦しみをさらけだして救済される必要…

ジャン・ボードリヤール「消滅の技法」

Jean Baudrillard「L'ART DE LA DISPARITION」 ボードリヤールの写真論。たしか、造本はきれいだけど内容は薄いよ、という留保付きで借りたんだった記憶がある。たしかに、おそらく日本語訳をする上での演出なんだと思うが、文章がマニフェストじみているし…

石川雅之「もやしもん(7)」

登場人物の美里薫は笑い飯の西田に似ていると思う。

斎藤喜博「授業小言(斎藤喜博総編集 開く叢書13)」

年末の友人たちとの宴席で、教育の本質的なことを真剣に考えて取り組んでいる人と話す機会があった。彼のような人と話すのは久しぶり、という感覚がして、まさにそういう機会に、父が教育に従事してましたよ、と自分が発言したのは我ながら意外だった。そう…

クロード・レヴィ=ストロース、今福龍太「サンパウロへのサウダージ」

Claude Levi-Strauss「Saudades de Sao Paulo」 2008年11月28日、レヴィ=ストロースは100歳の誕生日を迎えた。あまりに偉大すぎるこの文化人類学者の生誕100年を、まだ生きている彼と共に迎えられるとは、とても喜ばしいことだ。港千尋「レヴィ=ストロース…