伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」



うーん…黄金の竿を喪失した男が、それを置き去ってしまった孔を探し求めて放浪する話だ。あっちこっちで孔を掘りまくるんだけど、結局彼がそれを見つけたのは、自分の肛門だった…というのは嘘八百なんだけど。ドゥルーズ読んでてアンチ・ファルスに染まってるだけに、こんなでっちあげもしたくなる。
で正しくはこの話は、監視国家をモチーフにしたノンストップミステリです。おもしろくて一息で読んだ。ただし本当に薄っぺらい。とにかく人物設定を浪費しすぎなのが気になって仕方がない。セキュリティポッド保守員の男とか殺人鬼キルオとか、そんな属性別にいらなかったじゃん、というような方法でじゃんじゃん消費されてく。まあ大衆性重視って自分で言ってるんだし、軽やかなエピソードを飽きられないスピードでたたみかけていくのは、確かに効果的だ。
このジャンルは昔くさるほど読んでるからそれなりの読書スピードを誇るはずだ、ということで測定したんだが、この単行本500ページを4時間で読了、1ページあたり30秒だった。遅っ!!この誤算により、これを読んだ日は夜更かしをする羽目に陥った。