2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョルジョ・アガンベン「開かれー人間と動物」

この本は、アガンベンの政治哲学、特に生権力に関して彼が述べるときにその基礎とする、人間の身体と生そのものをめぐる議論の一部です。「剥き出しの生」を、人間から動物にまで思考の範囲を広げて考察し、位置付ける。主にハイデガーを用いての論証。以下…

サミュエル・ベケット「ゴドーを待ちながら」

戯曲。ニ幕構成の劇。 第一幕では夕暮れ時一本の木の下で、ゴドーを待つ2人の男(エストラゴン・ヴラジーミル)、2人の通行人(ポッツォ・ラッキー)、ゴドーが今日は来ないことを告げる1人の男の子、が登場し会話を交わす。第ニ幕では翌日の夕暮れ時…以…

梨木香歩「家守綺譚」

村田エフェンディの友人である青年が、自分が住み込み管理する古い家に起こる奇妙なことどもを短文にて書き連ねた小説。以前、梨木の「沼地のある森を抜けて」を読んだときにうっとおしいと感じた、理屈っぽい側面が完全に払拭されている。理解を超えること…

梨木香歩「村田エフェンディ滞土録」

時代設定は明治期、村田青年が留学先のトルコで遭遇した出来事を描いた短篇連作小説。 明らかに異なるバックグラウンドを持つ者同士が、好ましい距離感を保ちながら関係を続けていくのが、読んでいてすがすがしい。実際いまこの時代であっても、外国人同士な…

ジル・ドゥルーズ「記号と事件1972-1990年の対話」

原題は「折衝Pourparlers」。精神科医フェリックス・ガタリとの共著「アンチ・オイディプス」を出版して以降に、彼が発した談話のテクストをまとめたもの。訳者あとがきによると、彼は本来は対談は好まないらしいが、主に新刊書イヴェントの際に否応でもメデ…

菅野文「オトメン(1)〜(2)」

乙女のココロを持つ、文武両道な男の子の話。あらためて見ると、表紙の絵が衝撃的すぎ。 いま「記号と事件」読んでて幕間なんですが、私うまくドゥルーズ頭に…戻れるんでしょうか…?

ジル・ドゥルーズ、サミュエル・ベケット「消尽したもの」

ペドロ・コスタという名のポルトガルの映画監督が発表した「コロッサル・ユース」という作品は、とても不思議な画面を持っている。カメラが殆ど動かず、背景は静止画像のままでその中を人物が横切る。しかもその背景ですら、念入りに遠近感を排除させてトリ…