2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ミルチャ・エリアーデ「マイトレイ」

20世紀を代表する宗教学者・エリアーデの自伝的恋愛小説。彼がインドで学問を修めたときの師の娘マイトレイとの恋愛とその破滅を描いたストーリー。若々しい自意識のみなぎるエリアーデの、インド娘に対する偏見や憧れが溢れている。人が恋に落ちるまでのそ…

私家版・世界十大小説(ノンジャンル)

先週から今週にかけて、はてな界隈で表題の件が流行ってたみたい。idiotapeさん私家版世界十大小説など。たまにはこういうのにも参加します。ここ数年以内に読んだもの限定で(昔のは印象が薄い)。 1. フラナリー・オコナー「オコナー短篇集」 2. 舞城王太…

ミルチャ・エリアーデ「令嬢クリスティナ」

エリアーデはルーマニアの宗教学者。エリアーデという名前はたびたび聞くので、黙殺することのできない存在なんだと思う多分。と言うか、わたしはそもそも現役の学者の著作を読むのが好きで、で中沢新一みたいな現役の宗教学者がふっと思いついてレファレン…

鏡明「不確定世界の探偵物語」

編集やってる人と書店に行くと、長時間滞在の代償なのかときどき文庫本をプレゼントしてくれる。ありがとうございます。たいていは私が自分で選書するんだけど、この本に限っては、あなたはこれを読んで、て言って渡された。和製SFです。大森望さんが解説を…

梨木香歩「沼地のある森を抜けて」

友人が梨木はよく読むかもと言っていたので手にとりました。なので、語り手の女性と話中の友人男性とを妙に私と彼に投影しちゃっていけません。男に興味の薄い理性的に振る舞おうとするキャリア女性と、男性性に嫌気がさして中性的である研究者肌の男性なん…

J・M・クッツェー「恥辱」

良いです。近年読んだ小説の中では、フラナリー・オコナーの短編以来かも。良いのか悪いのか彼女よりも読後感を言語化しやすいし。 初老の大学教員ラウリーが教え子と関係を持ったことを告発され役職を追われ、都落ちして、自分の娘がひとりで暮らす農園に同…

ジョルジョ・アガンベン「例外状態」

3年前にたった一冊読んだきりのアガンベンが、奥歯にずっと挟まった状態のままでいて、脳死とか死刑論とかいった生死問題に言及する人文書を読むたびに彼の味がじわーっと滲み出してきていた。その本は「ホモ・サケル」、man-sacred=聖なる人間、脳死判定を…

乙一「小生物語」

もともとオツイチは好きです。とてもやる気のないデザインのウェブサイトに、とてもやる気のない彼の日記が掲載されてるのにある時気が付いて、掲載当時に読んでました。今はサイトは閉鎖されてるはずだけど、その書籍化です。彼のは「とるこ日記」も読んじ…