私家版・世界十大小説(ノンジャンル)

先週から今週にかけて、はてな界隈で表題の件が流行ってたみたい。idiotapeさん私家版世界十大小説など。たまにはこういうのにも参加します。ここ数年以内に読んだもの限定で(昔のは印象が薄い)。


1. フラナリー・オコナー「オコナー短篇集」
2. 舞城王太郎「煙か土か喰い物」
3. P・D・ジェイムズ「女には向かない職業」
4. 大江健三郎万延元年のフットボール
5. J・M・クッツェー「恥辱」
6. ジェイムズ・ジョイスユリシーズ
7. アイラ・レヴィンブラジルから来た少年
8. G・ガルシア=マルケス百年の孤独
9. 町田康「告白」
0. ジェイムズ・P・ホーガン「星を継ぐもの」


フラナリー・オコナーは凄い。凄いってのは判るのに何が凄いのか未だに言語化できないのがくやしい。私の中では、カフカによる読書体験がそのまま彼女のに受け継がれた感じ。新潮文庫の「オコナー短篇集」は絶版だけど、幸い筑摩書房が単行本で出してるので、今また読んでる最中だったりする。なんで彼女は弱くて醜い他者(と自分)に対してこんなに冷静に振る舞えるのか不思議で、それは彼女がかかった難病の為だけではないはずだ。乾いた視線や健全なシニシズムが好きなんだなあ私。


読書メモ以前に読んだ本について:
舞城くんはオーソドクスな価値観を持ったまま、新しい物語を書くことのできる希有な作家(…とよく言われてる)。単行本化されてるのは全て読んだ。私にとっては、カラマーゾフ3兄弟よりもこの本の奈津川4兄弟のほうがはるかに魅力的だ。彼らは芸術的でスピード感あふれる生を生きてて、ページをめくるたびにぞくぞくする。舞城くんのは、「ピコーン!」(「熊の場所」所収)も好き。某サイト曰く女性主人公を評して「スーパーポジティブフェラチオクイーン」…だそうですが(図星)、あの強さと優しさは奇跡。そう、強くひたむきに凄いスピードで生を走り抜けてる、そういう登場人物が彼のストーリーを牽引している。
アイラ・レヴィンは、海外ミステリ・ホラーにはまってた時期の最大の収穫。エンタメとしての上手さがある上、何か社会的なものの持つ不気味さを漂わせる作家だなと思う。日本語訳されてるのは絶版本含め全て読んでるはず。この本はヒトラー・メンゲレもの。殺人事件がべらぼうに起こるので(100件超えてた気がする)、ミステリファンの私でも途中随分翻弄された…、伏線苦手だったり外国人の名前覚えにくい人は、「死の接吻」「ローズマリーの赤ちゃん」「硝子の塔」あたりから入ってください。「ローズマリーの赤ちゃん」がとりわけ有名のようだけど、…うぅっ、うっかり30年越しの続編「ローズマリーの息子」も読んでしまって、たまらない気持ちになり申した。あれは読んではいけませぬ。