2009-01-01から1年間の記事一覧
Walter Benjamin「The Archades Project/Das Passagen-Werk」 近代的な技術の世界と、神話のアルカイックな象徴の世界の間には照応関係の戯れがある、ということを否定できる者がいるとすれば、それは、考えることなくぼんやりものを見ている者ぐらいだ。技…
1年振りにばっさり切った髪が、予定していたノラ・ジョーンズではなく、むしろエマニュエル・リヴァ、「ヒロシマ・モナムール」の彼女に似ていることに気がついた。つまりわたしはそういう年齢であり、あの女性主人公と同じような質を持つ経験をしていたとし…
Walter Benjamin「The Archades Project/Das Passagen-Werk」 街路はこの遊歩者を遥か遠くに消え去った時間へと連れて行く。遊歩者にとってはどんな街路も急な下り坂なのだ。この坂は彼を下へ下へと連れて行く。母たちのところというわけではなくとも、ある…
ひさしぶりに読んだ。長谷川摂子さんの前のとは違う連載と、小林康夫の「思考のパルティータ」はまだ続いてる。
いい家族だな。そしていい青春小説です。 父母姉弟の4人家族で、父が浮気で家を出てしまって完全に家庭崩壊。だけど最後には、父と母は自分たち子供とは別人格で他人、父と父の愛人と母との関係をひとつの恋愛関係だと捉えられるところまで理解しあえてる。…
Walter Benjamin「The Archades Project/Das Passagen-Werk」 ギース論の中の讒言に見られるルソーの対蹠者としてのボードレール。「われわれが必要品と必需品の次元から抜け出て、贅沢と娯楽の次元に入り込むや否や、自然はもはや犯罪を勧めることしかでき…
津田塾大学で開催されていた写真展「文字の母たち〜活字の旅とその記憶」を見た。 活版印刷の工程や道具、それに携わる人たちをおさめた写真集。当たり前のことなんだが、本を開いて見るページには、組版としてのオス型、活字の原型としてのメス型が揃ってい…
のだめちゃん公演成功おめでとう。 ピアノを自在に表現しながら弾いて、それが曲奏にぴたり合致すると本当に楽しい。 もう十分に弾きこなしたと思っていたサティのワルツを、再びもてあそんでしまいました。 たまには役に立つ情報。著作権切れの楽譜の無料ダ…
そんなことより、舞城くんの新刊が楽しみです。11/27発売「ビッチマグネット」発売当日に買うでしょう。
Walter Benjamin「The Archades Project/Das Passagen-Werk」 室内は単に私人の宇宙であるばかりでなく、またその保護ケースでもある。住むということは、痕跡を留めることである。室内ではその痕跡が強調される。覆いやカバー類、容器やケース類がふんだん…
子供たちのあいだで爆発的に流行している「ライフキング」というテレビゲームをめぐって、子供たちの緊密なネットワーク上で流布される噂や怪情報が、社会にも影響をおよぼす。初出である21年前の当時は、ゲームソフトは明らかに子供向けに作られていたし、…
Walter Benjamin「One Way Street, Berlin Childhood Around 1900 and Other Writings」 民間の言い伝えのひとつに、夢を朝食前の空腹のときに語ってはいけない、というのがある。……この心身状態においては、夢について報告することは由々しき結果をもたらす…
読了後にビール飲みたい熱が沸騰し、友人たちと私的にOktoberfestをおこなう。 NASA Ames Research Center勤務などという格好良すぎなキャリアを持つ友人に、この本と猫村さんを差し上げる。
William Butler Yeats「The collected Poems of W.B.Yeats (Macmillan)」 I had a thought for no one's but your ears: That you were beautiful, and that I strove To love you in the old high way of love. あなた一人だけに伝えたい思いが私にはあった…
叙述トリックは不要だ。なしでも物語が成立している。 さらに言えば、語り手を代えてまでして付けている「えんでぃんぐ」も蛇足だ。白紙ページで構わない。 ほんと饒舌なんだから。
Herta Müller「Der Fuchs war damals schon der Jäger」 ある日の午後、にわか雨が上がった後の中庭でのことだった。熱のこもったままの敷石の隙間を黒いアリの行列が這いまわっていた。アディーナは、砂糖水を流し込んだ柔らかい透明な管を敷石の隙間に置い…
J.M.Coetzee「Dusklands」 つまり彼女は、ぼくには秘密があると思っているし、しかもそれが、癌のように口に出せない秘密だと信じている。が、彼女がそう考えるのは自分自身をなぐさめるためだ。というのも、秘密があると信じることは、記憶の迷路のなかを探…
H.F.Saint「Memoires of An Invisible Man」 事故で透明人間になってしまった男が、現代のニューヨークを生きる。という以上のなんの話もありません。主人公は平凡な男で、でも何故か敵とのアクションは見事にこなし、いつもギリギリで追っ手をかわしつつ、…
Michel Foucault「The Order of Things: An Archaeology of the Human Sciences」 まだ小学生の頃だったと思うが、サバンナに住む野生動物を「偶蹄類・奇蹄類」と分類して紹介しているテレビ番組を、不思議に思いながら眺めていたことがあった。ひづめが偶数…
あらァ〜、ベタな感じが可愛いわァ〜。
Michel Foucault「La Bibliotheque Fantastique」 仕事の合間の待機時間に、すちゃっと図書館に入って読んだ。 フロベール「聖アントワヌの誘惑」をめぐる論考。
さいきん日本文学をほとんど読んでいないので、まず情報収集をば。 筑摩書房の松田哲夫が、「王様のブランチ」で紹介するために膨大な量の本をチェックするのに、 大森望、豊崎由美、さらに斎藤美奈子(、北上次郎、池上冬樹、高橋源一郎)の書評を参考にし…
非作家による選考をおこなう文学賞が増えた傾向を分析して、「文学の民主化」と表現するのは慧眼だと思う。 みんなが良いと言う本、よく売れよく読まれる本を、どう評価したらいいのかがようやく理解できた気がした。 ただ、わたしは今はまだ、民主主義的に…
Samuel Beckett「For to End Yet Again and Other Fizzles」 また終わるため 頭蓋骨だけ 出口のない暗 い場所で ひたいを板きれにおき 始めるため。 こうして 始めるための 長い とき 場所が消 え しばらくして板きれも消えてしまうまで。 だから 頭蓋骨 闇…
Samuel Beckett「Worstward Ho」 まだ戻り虚空は消え去ることがあるを取り消 す。虚空は消え去ることがない。薄暗さが消え 去るのをのぞいて。そのときすべて消え去る。 すべてが消え去ってしまったわけではない。そ のうち薄暗さが戻る。そのときすべて戻る…
Claude Lévi-Strauss「Tristes Tropiques」 一体、馴れ親しんだ環境や友達や習慣を棄て、こんなにも大きな経費と努力を払い、健康まで危うくした挙句の結果というのは、たったこれだけのことなのだろうか?調査者が一緒に居ることを許してもらっている一ダー…
最近、芸能ゴシップで、誰それが難病にかかったとかいう類いの報道が増えた気がする。本人から発信されることもあるし、マスコミの調査によることもある。ネット上ではしばしば売名行為だと揶揄されているが、結果としてたしかに売名は成功しているけれど、…
Jacques Derrida「Resistances of Psychoanalysis」 わたし心理学って好きじゃない。心理テストとか夢判断とか答えると、あなたは本心ではこう思っています、っていう結果を告げられるでしょ?そんなこと言われてもさ、思ってないなんて言えないよね、だって…
テレビアニメのシリーズが切り替わる時期に、次の放映予定アニメを一覧したウェブサイトをチェックすることがある。Gigazineとか。一望すると、いま製作されているアニメの傾向がわかるのでおもしろい。いつのシーズンだったか忘れたが、空から女の子が降っ…
Claude Lévi-Strauss「Tristes Tropiques」 「私は旅や探検家が嫌いだ。……」 この手記の筆者が冒険も旅行も好きではなく、世界中のあちこちで外交的に振る舞うということが性に合わない人間だ、というのは読んでいれば誰もが理解するところだ。彼に似合うの…