2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

サミュエル・ベケット「マロウンは死ぬ」

Samuel Beckett「Malone Dies」 「とうとうもうじきわたしは完全に死ぬだろう、結局のところ。」 ある男が個室のベッドに伏している。身体が不具でわずかに手しか動かない。彼は自分がどうしてここにいるのかが定かではない。なにか乗り物で運ばれてきたよう…

マリー・ンディアイ「心ふさがれて」

Marie NDiaye「Mon cœur a l'etroit」 昨夜、東京日仏学院で、マリー・ンディアイ/笠間直穂子(この本の翻訳者)/ミカエル・フォリエの鼎談をきいた。彼女はセネガルとフランスの混血で、フランスの片田舎に育ち今はベルリンに住んでいる。アフリカ系特有…

ジョルジョ・アガンベン「人権の彼方に―政治哲学ノート」

Giorgio Agamben「Means without Ends」 幸せになりたい。 この感情は、実際には他者への羨望でしかないと思った。明らかに幸せそうである人たちを目の前にして、彼は蚊帳の外にいる。「幸せになってほしい」「幸せにしてあげたい」というありふれた、でもあ…

松本昌次+上野明雄+鷲尾賢也「わたしの戦後出版史」

埴谷雄高、丸山眞男、野間宏、木下順二など戦後思想のトップランナーたちと仕事をした編集者、松本昌次氏の述懐録。上野氏と鷲尾氏が聞き手をつとめている。両名はそれぞれ大手出版社の元取締役だが、松本氏は小規模な出版社の立場で仕事を続けていて、まだ…

ブルーノ・シュルツ「シュルツ全小説」

Bruno Schulz もしシュルツ自身が狂人ではなかったとしたなら、彼のこの偏執狂的な想像力をどう扱ったらいいんだろう? 収録されている作品には短篇が多いから移動中読むにはうってつけ、ということで、バスを待つ間ゴハンを待つ間メトロに乗ってる間、とぎ…

ジル・ドゥルーズ+クレール・パルネ「対話」

Gilles Deleuze & Claire Parnet 「Dialogues」 まあ彼は頭が良すぎるんだよ、でもそこが彼のいいところでしょ、いやそれくらいは大目にみてやってよ。わたしがぶつぶつ不満をこぼしてるのを友人らが口々にとりなそうとするので、放置決定してたはずのドゥル…

日丸屋秀和「ヘタリア AxisPowers」

コミックです。イタリアとかドイツとか日本とかアメリカとかイギリスとか、国家を擬人化して、史実や国民性をコミカルに焼き直してショートストーリーに仕立てた漫画。「非線形科学」とこの本とを、同じ人に推薦してもらっています。以前会ったときに、ああ…

蔵本由紀「非線形科学」

自然界で一見ランダムに見える現象にも実は美しい数式(アルゴリズム)がかくされている、という視点のもとに、共振現象やフラクタルなどの考え方を、一般の人に理解できる形で概説した紹介書。あくまでエントリーモデルなので、書店で目次を見て既視感のあ…