2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

遠藤 秀紀「解剖男」

学問としての動物の死体解剖の話。研究手段が学問のジャンルとして成立するのもおもしろいことで、解剖学は、畜産学や遺伝学や医学や自然科学や博物学といった幅広い分野を繋ぐものだ。 海中哺乳類に特有の腎臓の形がゾウにも見られた、ということから、ゾウ…

ジャック・デリダ「他の岬」

…文化なしには、ただし他者の文化としての自己の文化、二重属格と自己への差異の文化としての自己の文化なしには、自己への関係も自己への同一化も存在しない。二重属格の文法はまた、ある文化はけっして唯一の起源をもたないことをも指示している。文化の歴…

「未来」2007年5月号(No.488)

あと1年で500号なんですね。 「パン=クレオールの概念」ロドルフ・エティエンヌ クレオール文化の連帯の大切さを論じたもの。クレオール語とは狭義には、植民地などでフランス語から派生した現地語、特殊なことに自然発生的な言語としてはかなり新しい、だ…

「大人の科学Vol.09 」

遅ればせながら。プラネタリウムなかなかきれいです。投影面(距離)のアスペクト比が高すぎるのと、窓の外が明るすぎる(9車線道路…)のをホントどうにかしたい。 夜空を見て星座を見分けることは、絶え間なく発声される言語を文節し意味を理解するのと同…

フラナリー・オコナー「賢い血」

偏狭なキリスト教説教師と彼を巡るひとびとの話。 大江健三郎がオコナーを好きなのが腑に落ちた。哀れまれるべき貧困層の滑稽さや、挙動の愚かさが淡々と語られていて、彼らを支配している因果律を読み取ることはとても困難で。救済を求めることに対して誠実…