2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

アデライダ・ガルシア=モラレス「エル・スール」

Adelaida Garcia Morales「the South」 こういうの読む人なんだ、って思われたらちょっとウフフな気分の装幀ですんで、六本木ABCでも堂々と表紙のほうを表に向けて会計を済ませ、地下鉄車両内でも表紙を見せびらかしながら読書してた人がここにいますよ。 数…

マルト・ロベール「カフカのように孤独に」

Marthe Robert「As Lonely As Franz Kafka」 カフカ論。 チェコ在住のユダヤ人が、ドイツ語で小説をかく。フランツ・カフカはチェコ人ではなかったから、近隣各国に蹂躙されていた当時のチェコに対する思いは、チェコ人たちほどには彼の心を占めない。また、…

フランツ・カフカ「カフカ短篇集」

ドゥルーズ+ガタリもロベールも、あまりに「判決」に言及するので、短篇を洗い直し。 カフカはアフォリズムをわかりやすい形で示すから、他のいろいろな小説が孕んでいた謎を明示してくれる。たとえば、「中年のひとり者ブルームフェルト」では、文学作品で…

椎名軽穂「君に届け(6)〜(8)」

いいすね。

エウリピデス「エレクトラ」

数年前に新国立劇場で「アルゴス坂の白い家」という劇を見た。その劇は「オレステイア」三部作のパロディで、クリュタイメストラとエレクトラの関係を中心にして描かれていた。エレクトラにあたる役柄を小島聖が演じていて、近親相姦的に父親を愛し、肉親で…

ソポクレス「エレクトラ」

アイスキュロス・ソポクレス・エウリピデスのギリシア三大悲劇作家が、同じテーマを扱って描いた戯曲では、「エレクトラ」が現存する唯一の作品らしい(原典はオデュッセイア)。 ソポクレスの描き方はかなり理性的。自らの夫を殺した母に対して復讐を遂げる…

ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ「千のプラトー 資本主義と分裂症」

Gilles Deleuze + Félix Guattari「Mille Plateaux」 「千のプラトー」を漸く読了。「アンチ・オイディプス」の続編だが既読であることを前提にしていない、と謳ってはいるものの、全体的に論の抽象度がかなり高くて、かつ具象から抽象への飛躍が一息でおこ…