ソポクレス「エレクトラ」



アイスキュロス・ソポクレス・エウリピデスギリシア三大悲劇作家が、同じテーマを扱って描いた戯曲では、「エレクトラ」が現存する唯一の作品らしい(原典はオデュッセイア)。
ソポクレスの描き方はかなり理性的。自らの夫を殺した母に対して復讐を遂げるのに、エレクトラオレステスもためらわないし、母殺しの呪いも降り掛からない。単に悪人を滅ぼして終わり。アイスキュロスの「エレクトラ(供養する女たち)」では、オレステスアポロンの神託によって母殺しに至る。血縁関係においては母は単に腹を貸すだけの存在である、そう言ってアポロンは母を非常に軽視してしまうけれど、そういう意味ではこのソポクレスの「エレクトラ」は、アポロン賛美の世界観だ。