東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」



知人の推薦本です。ジャケ買いだそうです。私もこの絵は魅力的だと思うので(森見登美彦四畳半神話大系」原画展見ました)その言葉は真実でしょうが、ミステリファンを自称する人が本気でこの本を買って愉しんだというのはちょっと恥ずかしいので、ジャケ買いとか貰ったからとかそんな感じの理由を付けたくなる、羽のように軽いライトミステリ。安楽椅子探偵ものです。
いちおう直してほしいポイントだけ挙げます。
金持ちの風祭警部が、同じく金持ちの宝生麗子の服が高価だということに気づかないのは不自然なので、何らかの釈明が必要。あと一般的な話として、宝生麗子の言動がお嬢様に見えない。最近の読み手は豪邸だのリムジンだのというアイテムを出せば了解しちゃうんじゃない?と知人は言っておりましたが、筒井康隆富豪刑事」(ドラマ版)のことを考えない訳がない。あとユーモアが稚拙すぎ。わんさと書いてる中で私が唯一クスリと笑ったのは、遺族が言い争っている最中に、昼の愛憎メロドラマも終わりの時間だ云々と風祭警部が言った、そのワンシーンのみです。あとは乾いた気持ちで嚥下しました。テンポよくセンスよい会話劇というのは、売れ筋狙いのライトな小説には不可欠ですから、なんとかしてください。伊坂になれるかなれないかがかかっていますよ!!
いちおう評価としては、深夜にコミカルドラマとしてやったらおもしろい原作本、そんな感じです。