2006-01-01から1年間の記事一覧

マックス・ヴェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」

ヴェーバーの一連の比較宗教社会学研究の、一角をなす論考のようです。タイトルで宗教と経済を同列に並べてますが、資本主義そのものに関する考察は皆無です。資本主義国家として一大帝国を築き上げた北部アメリカは、ピューリタン(プロテスタント)の移植…

「未来」2006年6月号(No.477)

4月に来日していたJean-Luc Nancyの特集号。 港千尋さん相変わらずすてきです。近代以前の絵画は宗教のモティーフを直喩にも隠喩にも用いていて、描かれたものすべてに特定の意味を込めていた。それを、接触という全く異なる媒介を経て読み取ること。また、…

モリエール 「ドン・ジュアン」

今MaxWeber読んでるんだが論が緻密で寝不足頭にはしんどいので、休憩に。 スペインのDonJuan伝説をモリエールが戯曲にしたもの。実際に劇場で観たら楽しめる喜劇だったろうという感じがした。つまずきのない話の展開、諸処にあるコミカルなやりとりや、序序…

「未来」2006年5月号(No.476)

ジャック・デリダ「エコノミメーシス」の、松浦寿夫さん評が掲載されてます。本のほう読んでないのでこの書評は紹介文として読むことにして、以下の点気になる。 ・書評の前半と後半のつながりが薄い。カント「判断力批判」のパレルガを介して前半の「表層云…

ベルトルト・ブレヒト 「三文オペラ」

千田是也訳のほうを読んだ、有名な戯曲だからという理由のみが動機。正直、面白いかどうかよく判らない。初演の1920年代ドイツの文化状況を理解していたほうが面白いのだろうと思うが私はそれに詳しくなく、またオペラや演劇そのものに普段からあまり馴染み…

ソポクレス「オイディプス王」

アンチゴネーが同時収録されてるのは新潮文庫のほうだった…。でもオイディプスも久し振りに読んでやっぱり面白い。岩波文庫は重宝だ、ていう感覚の裏付けってこういうことだ。 解説に大きく頷く箇所あり。有名なスフィンクスの謎掛け(←謎を解いて退治したの…

ジェイムズ・エルロイ「ブラック・ダリア」

凄いイイ!!!この本の評判もう10年以上前から聞いてたのに、何で今まで読んでなかったんだバカじゃないか?いやだいたいにおいて海外ミステリ探す時に文春文庫の棚はあまり見ない上、この本はペーパーバック・ミステリとしてはボリュームがありすぎたんだけど…

ノーム・チョムスキー「9・11-アメリカに報復する資格はない!」

9・11を安易にグローバリゼーションへの脅威、て感じに一般化してしまってたことに反省。ワールド・トレード・センターがグローバル資本主義の墓標になったのはテロ行為があってこそだったし、何より犯人サイドはそのテロ行為が、アメリカ政府への政策批判に…

アゴタ・クリストフ「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」

第二次世界大戦下のハンガリー(と思われる)での、ある人物の少年期から老年期までを書き記した小説。3冊同時に読んでもそれほどのボリュームでなく(計6時間くらい?)一気に読んで良かった。さすがはHatenaQuestionでよく推薦されてる小説だけあって良書…

フィリップ・ラクー=ラバルト/ジャン=リュック・ナンシー「ナチ神話」

ナチによる民族意識高揚がどのように起こったのかを考察した本。100ページに満たない。ナショナリズムの宣揚にはしばしば神話が使われる。太平洋戦争における靖国神社を思い浮かべると理解しやすい、戦死し英霊として祀られること。神話が模倣され(ミメーシ…

平野啓一郎「日蝕」

しばらく前に古本屋の100均で購入して(←赤線が引いてあるから?)寝かせていたのを読了。 内容は15世紀末フランスのドミニコ会修道士の懐古。なんか振り回されっ放しだった。冒頭は森鴎外「舞姫」の前半を読んだような印象で、宗教的教義に反するような過去…

アルフォンソ・リンギス「何も共有していない者たちの共同体」

死をとおした連帯「死の共同体」についていろいろ考えさせるもの。(この点でナンシーさんつながり。) アフリカや中東、遠い異国の地で今日も多くの人々が戦争や貧困のうちに亡くなっているということは、多くの人がわかっていること。ただどうやったって、…

エドワード・W・サイード「知識人とは何か」

英BBCの講演シリーズの収録です。なのでとても読みやすい。 コロンビア大でのサイードの講義の聴講生選抜で、ベトナム退役軍人(空軍)に「軍隊で君は実際に何をしてきたか」と問うたところ、「目標捕捉」と返答されて衝撃を受けた、というくだりに不謹慎に…

ジャン=リュック・ナンシー「私に触れるな──ノリ・メ・タンゲレ」

「自由」とは定義されたもの以外のものを定義しようとする概念だけれど、そういう方法で「自由」を定義しようとした途端にすでに定義づけられてしまうのでそれはもはや自由な「自由」ではない。そうして、永遠に「…以外のもの、…以外のもの、」を繰り返す身…

ジャン=リュック・ナンシー「自由の経験」

中井久夫「西欧精神医学背景史」

二ノ宮知子「のだめカンタービレ(14)」