ジャン=リュック・ナンシー「私に触れるな──ノリ・メ・タンゲレ」



「自由」とは定義されたもの以外のものを定義しようとする概念だけれど、そういう方法で「自由」を定義しようとした途端にすでに定義づけられてしまうのでそれはもはや自由な「自由」ではない。そうして、永遠に「…以外のもの、…以外のもの、」を繰り返す身振りは、まさに否定神学的。「自由」「神」とは何か、という普遍的な問いに対して、個人的な行為ー経験、実践、具体的には祈りーそのものの中に答えを見いだそうとする考えが、とても印象に残りました。
聖書やイコンなどは「神」を表象しているのではなく、祈りをとおして祈る主体の中にある「神的なもの」を想起させるのだ、というような一節が「私に触れるな」にあり。駒場でのラウンドテーブル終盤においてナンシーさんが挙げた、唯一神を否定する最終兵器アイデア(^_^)と通じるところがありますね。
また、「神」を「自由」に置き換えて同じことが言えると、なお素敵だと思ったり。