マックス・ヴェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」



ヴェーバーの一連の比較宗教社会学研究の、一角をなす論考のようです。タイトルで宗教と経済を同列に並べてますが、資本主義そのものに関する考察は皆無です。資本主義国家として一大帝国を築き上げた北部アメリカは、ピューリタンプロテスタント)の移植によって成立した訳だから、「プロテスタントの倫理が資本主義の原動力になった」というのはかなり妥当な仮説だと思うわけだけど。何と言うか、シェーカー家具を見てこれはカトリック系教団だろうと思っていた私には、あまりにも直感が阻害しすぎた。シェーカーが成立した地域や年代を考えるとそりゃピューリタンな訳だが、敬虔であり厳格であり禁欲的であり古風であり家内的な手工業を好むというのはカソリック系の特徴じゃあないのか?と考えてしまうあたり。また、祖父がプロテスタントだったけど、この本で書かれてる特徴といやあんまりにも違うよ…というあたりで、あるひとつの宗教会派の倫理観を、国を超えたレベルでほぼ同一のものとして捉えることには限界があるのではないかと思ってしまう。そして、そう捉えることが無謀な話ではない、ということが立証されない限り、この論考に説得力は無い。(いや、別の論文できちんとやってるんだろうけど、それまで読む気にはなれませんなぁ…)

ちなみに最近のIT企業経営者の逮捕騒動に関連して、「汗水たらして働くことの美徳」を語るオジサンがメディアに登場するのを目にするけれど、それはどういうところから生じているのだろうか。国民性のひとことでも片付けられるけど、現人神の信仰から派生していそうでもあるよね。←放言