2008-01-01から1年間の記事一覧

オノ・ナツメ「LA QUINTA CAMERA 5番目の部屋」

箸休めにコミックです。ネグリさん読み始めた。一緒にデングリしたいんだもん。http://www.negritokyo.org/

フラナリー・オコナー「フラナリー・オコナー全短篇(下)」

短篇集(上)は「A Good Man Is Hard to Find」を中心に、信仰の不在をモティーフとした作品が集められていたけど、(下)は「Everything That Rises Must Converge」を中心に、自意識の崩壊を扱ったものが多い。 「すべて上昇するものは一点に集まる」は、…

ピエール・バイヤール「アクロイドを殺したのはだれか」

アガサ・クリスティーがミステリの正統派だと評されているのを聞くと、わたしは未だに困惑する。そう言うには彼女は奇抜すぎると思うのだ。 一般的に、ミステリの最後で暴かれる犯人は必ず、そのミステリの読者が想像もしなかった登場人物である。しかしクリ…

アガサ・クリスティ「アクロイド殺害事件」

アクロイド殺しの真犯人は別にいるらしい、という本を次に読むので、自分でも見当つけとこうと思って再読した。 「アクロイド殺害事件」は、ある登場人物の手記という体裁をとっている。語り手は、断片的な知識しか持たないし、公平な目で事件を眺め渡すわけ…

コクトー「恐るべき子供たち」

いまいちです。口直しに萩尾望都、読みたいなぁ。

フラナリー・オコナー「フラナリー・オコナー全短篇(上)」

今までずっと、オコナーが描いていることをうまく言語化できないでいたんだけど、彼女を読みとく手がかりを、意外にもエリアーデが与えてくれた。彼女は、信仰を持つことのできないキリスト教徒とその神を描いているんだ。 エリアーデの定義する「信仰」はた…

ジョージ・オーウェル「動物農場」

社会的劣化が著しい、この作品は既に乗り越えられた傑作だわ、などと辛辣なこと考えながら読んでたわりには地下鉄2駅乗り過ごした。どういう性格の役者を配するかとか、伏線のひき方とか、ブラックなオチの付け方とか、今のミステリ(←広義)ではかなり多様…

「ちくま」2008年2月号(No.443)

穂村弘さん連載、経営者が戦国武将を心の手本にするという想像力の飛躍について、「キリン的」。キリンやゾウってかなり異常な造形で、現実にいるのが不思議なくらい。(だけどいる。)SFに出てくるエイリアンなぞ、キリンに比べたらかなりノーマルな生物だ。…

コレット「シェリの最後」

若く美しく傲慢な男シェリと、老いた美しい高級娼婦レアの、愛の日々とシェリの結婚による別れを描いたのが「シェリ」。これはその続編で、シェリがその後戦争から帰還して過ごす、無為な日々の記録です。 シェリは時にレアを「ヌヌーン」と呼ぶんだけどこれ…

コレット「シェリ」

私は健全すぎるのかもしれない。登場人物の49歳の高級娼婦、姿の美しい人という設定なのだが、老いを嘆くにもかかわらず、衣装で皮膚のたるみをごまかしたり、長年の手練手管で若い男をやりこめたりしてて。老いるのが怖いなら身体を鍛え食事に気を使えっ…

ミルチャ・エリアーデ「永遠回帰の神話」

マイトレイをあんだけ残酷にふったダメ男がこういう研究をするとはくっそー、と思いますがおもしろいアルケオロジーです。宗教的儀式からその祖型を見いだして、それが担っていた意義を論じてるんだけど、その意義が他のものに転嫁されていくようすを描き出…

「ちくま」2008年1月号(No.442)

総合出版社のPR誌ってゴッタ煮だ。掲載されてるのの半分くらいは読むに耐えないか趣味が違いすぎてついてけない。でも趣味が違いすぎても、穂村弘さん。バカっぷりが冴えてて感銘を受けました。「教えてあげてもいいけど、あたしの仕事の邪魔しない?」ぽわ…

J・M・クッツェー「マイケル・K」

鴻巣友季子さんの翻訳によるクッツェーは、一人称で行われる思考の成り行きを、言葉を次いでいくままに訳しおろすような体裁にしていて、その独特の癖がわたし好みだった。「夷狄を待ちながら」は彼女の訳ではなかった。文の流れがやや滞留気味なのが気に障…

大宮勘一郎「ベンヤミンの通行路」

曇り空の日の風景は繊細で美しい、と感じたことがあった。数週間前の午前中、等々力の駅から多摩川の方向へまっすぐにのびる道を、遅刻しないように足早に、ぱらつきはじめた雨が顔にかからないように俯いて、ただひたすら歩いていて、環八との交差点に差し…

よしながふみ「大奥(3)」

新年早々にこんなこと書くのも何ですが、ホモセクシャルが一掃されてますがいいんでしょうか?このままじゃ普通のおとなしい時代物だと思うんですが。