2007-01-01から1年間の記事一覧

ジュディス・バトラー「ジェンダー・トラブル」

性(ジェンダーは勿論、セックスまでも)がいかにして人工的に構築されたのかを論じるのがこの本の主旨。1990年に出版されて、当時のジェンダー論を刷新したのらしい。 政治/権力/法/禁止などが身体に配備させる性欲の機構に関してフーコーを援用し、メラ…

浦沢直樹「PLUTO(1)〜(4)」

プルートゥ1巻分の謎があれば、ミステリファンはゴハン3杯頂けるのですが。

スティーブン・ストロガッツ 「SYNC」

サブタイトルは「なぜ自然はシンクロしたがるのか」。ホタルの発光、心臓ペースメーカーなど、同期現象に関わる多様な研究を紹介する本。空間的な共振現象については、(建築畑の人間としては)そりゃそうでしょとしか言いようがないけれど、それを時間軸に…

津田雅美「彼氏彼女の事情(19)〜(21)」

完結。このマンガは前半がコメディとして面白い。庵野秀明が制作したアニメ版も然り。

大岩ケンヂ/原作:滝本竜彦「NHKにようこそ!(3)〜(5)」

もともとは2年前、ライトノベルが流行り始めたらしかった頃に、ラノベへの足掛りの一冊として原作の小説を読んだのだった。(←斉藤環とか信頼できそうな人々が批評の俎上にのせていたから。ロードス島みたく連作じゃないのも有難かった。)2年前も今も、原…

ジェイムズ・P・ホーガン 「星を継ぐもの」

ホーガン最高!ハードSF万歳!最初に評判聞いてからもう10年以上経つけど、そしてその間にはツマンナイSFにいくつかひっかかったり、紀伊國屋書店でガキの「ホーガンはもう全部読んじゃったよ〜」などという耳の痛いセリフを耳にしたりもしましたが、でも読…

レイモンド・チャンドラー「さらば愛しき女よ」

言わずと知れたハードボイルドの金字塔。さすが古典です素晴らしい。 とにかくフィリップ・マーロウがカッコよすぎ。彼はストーリーの中で幾人ものならず者や悪党に会い、生命の危機に度々見舞われる、というよりその状況を厭わない、が、誰もが彼にとどめを…

「未来」2007年2月号(No.485)

前にも書いたような気がするが、松田美緒さんの「音を紡ぐひとたち」良かったです(最終回)。情景の描き方が美しく、異国の人々に人間臭さや存在の身近さを感じさせてくれます。私が普段読むような類いのエッセイじゃないんだけど。できれば写真とリリック…

山田 芳裕「へうげもの(1)〜(4)」

織田信長が松永久秀を滅ぼす辺りの時代から第一話が始まって主人公が歴史上の誰なのか同定できずにずーっと読み進んで、4巻で豊臣秀吉から官位を与えられて漸く、古田織部だと判明しました。逸品を見たときのオーバーリアクションがよい。

石川雅之「もやしもん(1)〜(4)」

かもすぞ〜……が菌の口癖、菌の見える(しかもカワイイ姿で)農大生のマンガです。 菌たちが「ただやす」になついてるのが妙におもしろい。

ジャック・デリダ「触覚、―ジャン=リュック・ナンシーに触れる」

漸く読了。携帯するにはボリュームがありすぎる本なのでなかなか読む時間がとりにくかったし…。 ナンシーやデリダの持つ厳密さは、一般的な意味での厳密さとすこし異なる気がする。(ところで本書の中で、デリダはナンシーの厳密さに言及している。)以前に…

町田康「告白」

明治二十六年に実際に起こり後に河内音頭になった惨殺事件「河内十人斬り」の、首謀者の内省を描いた作品です。 わたしの個人的な好みによく合っています。おほほん・わっぴゃぴゃんという擬音擬態語で文に弾みを生むのとか、ドナドナのように…などと時制の…

町田康「浄土」

「東京飄然」とか書店でパラ読みしたりしてて、あ結構おもしろい作家だと気付いてたのに、辻仁成を読む気がしないのと同じ理由で読まずに来たことを恥ずかしく思いますと告解しておく。スミマセン。 「浄土」には7つの短編がおさめられていて、良い順に「犬…

「未来」2007年1月号(No.484)

「夕鶴」てとても美しい話だと思う。 つう、が自分を助けた男の許を訪れ一緒に住まったのは、単に一緒にいたかったからとかお世話をしたかったからとか、思慕感情だったと思うのよね。それがやがて自己犠牲に発展する。好きな男に尽くしたいという気持ち。だ…

福原泰平「ラカン 鏡像段階」

フランスの哲学者(精神分析医)ラカンの紹介書。こういう紹介書読むのすごく久しぶりかも。ラカンの思想ばかりでなく生い立ちやら私生活やら、バタイユの妻との仲にまでふれているのが人間臭くて楽しい。ラカンを批判的に乗り越えるという気がまるでないの…