サラ・ウォーターズ「半身」

Sarah Waters「Affinity」


日本でもベストセラーになっていたが、そりゃ確かに面白い。
ミステリというのは、登場人物や語り手(マーガレット・プライア)よりも早くに真実に気がついたら、そこから先はスリラーとして楽しむことになる。今回は、後ろ40%をスリラーとして楽しみました。完全に真実を把握してた訳じゃないけど、「わたしは29歳。あと三月で30歳。」でこの思考回路って、どう考えても語り手は型通りの「哀れなオールドミス」役です。騙されてしまう役回り。残酷なる哉、頭が良くそして往々にして頑迷な30歳女性は、つまらない男(今回は女だけど)に引っ掛かって人生を駄目にする、という役回りが物語では多い気がします。フラナリー・オコナーもそういう描き方してたな。多分、保守的な世界観だとそうなるんでしょうね、現実の日本ではそんな役回りじゃないもんね。…なんて言い切れるのかしら?