アントニオ・ネグリ+マイケル・ハート「マルチチュード(下)」



先週末に開催されたシンポジウム「新たなるコモンウェルスを求めて」に行ったよ。ネグリさんは電話対話のみで、登壇者は姜尚中上野千鶴子鵜飼哲石田英敬。この4者だと圧倒的に上野さんに敬意を払う雰囲気になるようで、しかし彼女はさほどネグリに詳しくない(笑)。彼女が大原麗子みたいなかわいい声でとっとことっとこジェンダー論者を演じてみせて、鵜飼さんはいつも通りジーンズ姿で壇上でもニコニコニコニコ楽しそう。姜さんはヤジについつい過剰反応して熱くなっちゃって、一方石田さんは手慣れた様子でそれをさくっと受け流して自説をがんばって展開。なんだか面白い風景です。ほか、会場には上村忠男さんが来てたようで(…とメモしてあるけど自信ありません。。。間違ってたら指摘してください)、彼は発言を求められて、こう言ってた。<帝国>Empireなんて言葉は非常にペシミスティックであるにも関わらず、ネグリは希望の語り部であると。


マルチチュードの発現形態として今もっとも判りやすいのは、「Web 2.0」と銘打たれた世界観だ。オープンソースを基本としていて不特定多数の参加者の手によって革新がおこなわれていき、マイクロソフトなど巨大企業の<帝国>統治に対して既に威力を持ち始めている、まさに<公>ではなく<共>がそこで実現されている。………う、オナカ痛くて考えがまとまりません………わたしがどうしても気になって仕方ないのは、なぜここまでネグリが民主主義を信望しているのかだ。中国の農民層やアフリカの貧困や中東の政治不安が、いまこの段階で民主主義で救済できるとは到底思えないんだけど。ガバナンスが要請されるシーンは必ずあるはずで、そのとき民主主義は最良の手段ではない気がする。