「未来」2007年12月号(No.495)



・ひとつもの凄いエッセイが収録されてるんですが、未来社さんマジですか?テーマはこれで良いとしても、内容と構成と文章そのものが雑誌全体のレベルから著しく離れているように思うんですが。れ、連載なのか。
小林康夫が連載「思考のパルティータ」で、非常に見事な思考の横断を見せています。経済や環境問題など社会的なこと、最先端の科学のこと、そして哲学的考察、これらを美しく結びつけるのは至難の技だけど、彼は鮮やかにやってのけている。ことばと思考が同時に自在に展開してて、あーこりゃすごいわー、としか言いようがありません。以下引用。
ヒロシマナガサキが巨大なエネルギーがもたらす災厄の名であるとすれば、ミナマタ・チェルノブイリは、そうした眼に見えない、日常的な風景のなかに潜むリスクの名なのである。…
…デザインとは、…物質と情報のあいだで、あるいは、計算可能なものと計算不可能なもののあいだで、両者を含み込んだ仕方で調停するような創造的な決定をもたらすことである。…言い換えれば、デザインはいわば、計算不可能なものへ、つまり出来事へと開かれたものとして思考されるのだ。…