湊かなえ「告白」



「道を踏み外して、その後更正した人よりも、もともと道を踏み外すようなことをしなかった人の方がえらいに決まっています。」「三年生の担任を持つと、受験を前にして『この子はやればできるんです』と保護者の方からよく言われるのですが、……『やればできる』のではなく『やることができない』のです。」ご尤もなのですが、そのことに苛立ちを感じている人でなければこんな話を人前ではしない。彼女、小学校教諭、は我が子を殺害した生徒を精神的に追い込んで私刑に処する。否定という形でしか世界と向き合えないのは気の毒だと思うが、この物語で不思議なのは、なんで彼女は有名熱血教師なんかを好きだったんだろうかってことだ。
2009年このミス4位。普通に面白いのですが、新人らしく、描写のそこかしこがこそばゆい。