中沢新一「ゲーテの耳」



軽い。軽やかです。
中沢新一は少なくともこの本では、西洋哲学を思考のツールとして用いていない。「アースダイバー」でもそうだった気がする。例えばエリアーデも中沢と同じくインド地域の宗教を研究しているけど、彼は、マルクスヘーゲル等の西洋哲学を直接参照するばかりか、分析手法や総括形式も西洋哲学の作法で行っている。そういう作法の正しさってのを私はもう小学校以来たたきこまれているから、中沢の文読んでると、コレ何よ?あなたはもう体得したのかもしんないけどさ、私たちにとってチベットはまだまだ外部なんだぜ?ちゃんと分析して批判して総合しろよ。て思わずにいられないや。
尤も、「ゲーテの耳」がこんなにもスカスカに思えてしまうのは、伴走相手に恵まれなかったせいだ。「帝国」に比べたらそりゃあね。