椎名軽穂「君に届け(1)〜(4)」



まずマンガ書評系のブログサイトでの言及数が多いなということに気付き、アマゾンでも存在感を発揮し始め、書店での平積みが増える、という口コミによる人気爆発の典型を見ました。おそらく映像化されるのは時間の問題。
恋愛主軸の展開を繊細な絵で描く、という少女漫画の王道的な作品は久しぶりに読みました。こういうのもいい。男女が見つめ合ってるシーン表現するのに、黒髪のベタ塗りをスクリーントーンによる半階調に切り替えて背景に点描とばしてぼんやりとした空気感をつくったり、主人公の感情の機微に応じてコマ割りをイレギュラーにしたり、見つめ合ってるはずなのに同じコマの中に2人の顔を正面向けて並べてしまったり、そういう技術は本当に凄いと思っていて、ただそういう良さは映像化してしまうと完全に失われる。
…とかいうゴタクを並べずに端的に感想を言うなら、風早くん大好き。というこの一言がすべて。完全にファンタジーというか妖精だけど、そういうのが大切なのだ。


※?うまく言えてませんが、ファンタジーとか妖精とかっていうのは、例えば小川洋子博士の愛した数式」はファンタジーで、話中の数学者は妖精である、実際にこんな人いないと判ってるけど、でもこういうのが数学者だという想像や期待があって読者がなんだか納得してしまう、というのと同じ意味です。