舞城王太郎 「SPEEDBOY!」



舞城くんの単行本すごい久し振りと思ったら「みんな元気。」以来の2年振りだというから恐ろしい。で講談社BOXという新シリーズの鏑矢企画らしいのだが、第一弾のメンツ見て、太田克史さんは一体誰にこのシリーズを買わせようとしてるのかとフシギな気持ちになりましたよ。て私か。
人物の名前や設定を部分的に借用しながら、全くのパラレルワールドのストーリーを7章立てしてひとつの話。ある閉じた作品世界を表現しているんじゃなく、作品が喚起するものを表現しようとしている、そんな感じ。ンババババッ!とか人物の悪びれない雰囲気とか舞城節は相変わらずで、でもかなり軽快な話なのがこれはスピーディーに読むのかライトに読むのかどっちもありうるよね?

    • -

僕が登場するまで皆が壁を破れなかったのは、それが無理だと思ってたからだ。壁を破って見せたら、結構ついてくる人間も出てきた。人の意識は自分の身体にブレーキをかけるのだ。無理だと思えば無理になる。できると思えばできるようになる。
では、他人の意識はどうだろう?他人の意識は自分の身体にブレーキをかけるだろうか?

    • -

気持ちを加減したければその対象について考える時間を減らせばいい。そう結論づけたじゃないか。どうしてもう一度同じ設問をするんだ?
それはもちろん自分の出した答に納得してないからだ。
一度ある程度膨らんでしまった気持ちは、それについて考えてなくても勝手に増大するし縮小するのだ。そういう状態の気持ちを加減できるのか?愛情や憎しみが図らずも育ってしまったとき、それをコントロールするすべはあるのか?それが僕は訊きたいのだ。
でもそんなの気持ちを増減させる内的要因がはっきりしていないのに答えられない。答えられないことは後回しだ。