網野善彦「無縁・苦界・楽」



歴史関係の書物あまり読まないが、参考文献がとにかく多くなるのだなと単純に思う。現世との縁が切れた場所(無縁)である寺社の周辺に歓楽街が発達する理由としては、たくさんの参拝客に対して商売できるからか、行商の自由が保証される場所であるからか、明確な因果関係をつくりにくいところだろう。
この狭い東京23区内だけを見ても、実際に現地に行ってみると町の興りがいろいろ想像できて楽しい。湧水が出て神社ができて歓楽街ができて青線に指定されて再開発のあおりを受けつつあるエリア。高台で城郭ができて長屋ができて職人街になって今でも手工業が盛んなエリア。都市計画で用途地域の指定を受ける前の、場所に密接した風景の名残りが東京にはまだたくさんある。